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(b)SR196C船型の満載状態と軽荷状態同一の船型でも載荷状態が異なると一般に造波現象は大幅に異なる。そこで、SR196C船型の満載状態と軽荷状態の自由表面流れを計算し、波紋と船側波形を水槽試験結果と比較して計算精度の検証を実施した。計算法として、FRESH法およびWISDAM法を用いたが、計算結果はほぼ同等であったため、ここでFRESH法の計算結果を用いてその推定精度を概説する。波紋図を図5.2.4.5に示す。船体近傍での船首波、船首肩波、船尾肩波、船尾波の形はよくシミュレートされてる。しかし、低いフルード数の短波長の波を解像するには、格子の数が十分ではないと思われる。同じ理由で船体から離れたところの波の計算値は減衰が強い。満載と軽荷状態の波紋の実験結果を比較すると、満載状態では船首波浪頂線は円弧状であるのに対し、軽荷の波頂線は直線的に

 

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図5.2.4.5 波紋図の比較(上段:満載状態、下段:軽荷状態)

<△h=0.5×10 3、上半分:試験結果、下半分:計算結果"

 

斜め後方へのびている。また、船尾肩波は軽荷状態の方が大きい。計算結果はこれらの違いを船体近傍ではよく再現している。
次に、船側および船体近傍の縦切り波形を実験結果と比較して図5.2.4.6および7に示す。満載状態では、満載状態の船側波形は実験結果とほぼ一致するが、縦切り波形には、若干の位相遅れと波高の減衰が見られる。一方、軽荷状態は、実験結果との比較は縦切り波形のみである。計算結果の波形にやや振動が見られるものの、それを除けば満載状態とほぼ同様の計算精度を有しているものと考えられる。

 

 

 

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